東京高等裁判所 昭和54年(ネ)2383号 判決
控訴人 大橋光雄
被控訴人 松田静江
被控訴人 岡菊江
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴人は「原判決を取消す。本件を東京地方裁判所に差戻す。」との判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張及び証拠関係は、次に付加するほか、原判決の事実摘示のとおりであるから、これを引用する。但し、原判決三丁裏三行目から四行目にかけての「第八、〇八三号所有権移転登記手続等請求事件」を「第八、〇三八号土地所有権移転登記抹消登記等請求事件(本訴)及び控訴人から被控訴人岡菊江に対する同庁昭和五〇年(ワ)第五、七二六号土地所有持分権譲渡請求事件(反訴)」と訂正する。
(控訴人の主張)
別件訴訟においては、被控訴人松田静江は本件各書面が真正に成立したことを認めているにもかかわらず、その訴訟代理人である弁護士の村田茂は本件各書面の成立につき不知と答弁しているが、同弁護士の右答弁は弁護士法に違反するものであって、かかる場合には証書真否確認の訴は許されるべきである。
理由
当裁判所も控訴人の本件訴えは確認の利益を欠くものとして却下されるべきものと判断するものであって、その理由は次に付加するほか原判決の理由のとおりであるから、これを引用する。
当審における控訴人の主張につき判断するに、本人において真正に成立したことを認めている書証につき、その訴訟代理人である弁護士が成立不知の答弁をしたことが、弁護士の訴訟行為として相当でないといえる場合があるとしても、そのために右書証の真否確認の訴えが許されるものと解すべき根拠はないから、右主張は失当である。
よって、民訴法三八四条、九五条、八九条に従い主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 外山四郎 裁判官 海老塚和衛 清水次郎)